2010年02月11日

【全文掲載】外郎売(声優、ナレーター向け)




演技者ならば誰でも知っている

『外郎売り』

よく滑舌(かつぜつ)の練習として使われます。


練習をする場合は、

まず最初に、縦書きに書き直しましょう。

ナレーション原稿は横書きのものもありますが、基本的に台本の台詞は縦書きです。


…すみません。

このページでは横書きしか出来ないので(汗)

しかし、書き直すことで、読み方や内容を理解し、覚えることができますので、どうかご勘弁を。


どうしても縦書きにする時間がない方は、
『はじめての声優トレーニング』
外郎売はもちろん、基礎からその少し先まで書いてあります。
CD付きなので、外郎売も聞いて覚えられます。


さて、
縦書きに書き直したら、次は声に出して読んでみましょう。

前進座という劇団の女優さんが外郎売り演じています。

アクセントやイントネーションなど参考にすると良いでしょう。


とはいえ、
初めから↑これをやるのは難しいので、

いつも喋る声の大きさで、ゆっくりと、音読(感情など入れない)しましょう。

必ずどこかで突っかかりますが、突っかかった場所を覚えておいて先に進みましょう。

数回読むうちに、自分の苦手な場所がわかってきますので、

そこを重点的に練習するようにします。


うまく出来ない時には、

どのように口や舌を動かすといいのか?

言葉の、どの部分に力を入れたらいいのか?

など、自分で色々工夫してみましょう。

考える力がつきますので。


それでは、

外郎売りのはじまりはじまり〜。




『拙者親方(せっしゃおやかた)と申(もう)すは、

お立合(たちあい)の中(うち)に御存(ごぞん)じのお方(かた)もござりましょうが、

お江戸(えど)を発(た)って二十里上方(にじゅうりかみがた)、

相州小田原一色町(そうしゅうおだわらいっしきまち)をお過ぎなされて、

青物町(あおものちょう)を登(のぼ)りへおいでなさるれば、

欄干橋虎屋藤衛門、(らんかんばしとらやとうえもん)只今(ただいま)は剃髪致(ていはついた)して、円斉(えんさい)となのりまする。


元朝(がんちょう)より大晦日(おおつごもり)まで、お手に入れまするこの薬(くすり)は、

昔(むかし)ちんの国(くに)の唐人(とうじん)、外郎(ういろう)という人、わが朝(ちょう)へ来(きた)り、

帝(みかど)へ参内(さんだい)の折(おり)から、この薬(くすり)を深く籠(こ)め置き、

用(もち)ゆる時(とき)は一粒(いちりゅう)ずつ、冠の隙間より取り出(い)だす。

依(よ)ってその名を帝より、とうちんこうと賜(たま)わる。

即(すなわ)ち文字(もんじ)には「頂(いただ)き、透(す)く、香(にお)い」とかいて「とうちんこう」と申(もう)す。


只今はこの薬、殊の外(ことのほか)世上(せじょう)に弘(ひろ)まり、方々(ほうぼう)に似看板(にせかんばん)を出(いだ)し、

イヤ、小田原(おだわら)の、灰俵(はいだわら)の、さん俵(だわら)の、炭俵(すみだわら)のと色々(いろいろ)に申(もう)せども、

平仮名をもって「ういろう」と記(しる)せしは親方円斉(おやかたえんさい)ばかり。

もしやお立合(たちあい)の中(うち)に、熱海(あたみ)か塔(とう)の沢(さわ)へ湯治(とうじ)にお出(い)でなさるるか、

又は伊勢御参宮(いせごさんぐう)の折からは、必ずお門違(かどちが)いなされまするな。

お登りならば右の方(かた)、お下(くだ)りなされば左側、

八方(はっぽう)が八つ棟(やつむね)、表(おもて)が三つ棟玉堂造(みつむねぎょくどうづく)り、

破風(はふ)には菊に桐のとうの御紋(ごもん)を御赦免(ごしゃめん)あって、系図正しき薬でござる。

 
イヤ最前(さいぜん)より家名(かめい)の自慢ばかり申しても、

ご存知ない方には、正身(しょうしん)の胡椒(こしょう)の丸呑(まるのみ)、白河夜船(しらかわよふね)、

さらば一粒(いちりゅう)食べかけて、その気見合(きみあ)いをお目にかけましょう。


先(ま)ずこの薬をかように一粒(いちりゅう)舌の上にのせまして、腹内(ふくない)へ納(おさ)めますると、

イヤどうも云(い)えぬは、胃(い)、心(しん)、肺(はい)、肝(かん)がすこやかになりて、

薫風咽(くんぷうのんど)より来(きた)り、口中微涼(こうちゅうびりょう)を生(しょう)ずるが如(ごと)し。

魚鳥(ぎょちょう)、茸、麺類(めんるい)の食合(くいあ)わせ、

其の他(そのほか)、万病速効(まんびょうそっこう)ある事神(ことかみ)の如(ごと)し。


さて、この薬、第一の奇妙(きみょう)には、舌のまわることが、銭(ぜに)ゴマがはだしで逃げる。

ひょっと舌がまわり出すと、矢も盾もたまらぬじゃ。


そりゃそりゃ、そらそりゃ、まわってきたわ、まわってくるわ。

アワヤ咽(のど)、さたらな舌(した)に、カ牙(げ)サ歯音(しおん)、

ハマの二つは唇(くちびる)の軽重(けいちょう)、

開合(かいごう)さわやかに、あかさたなはまやらわ、おこそとのほもよろを、

一つへぎへぎに、へぎほしはじかみ、

盆(ぼん)まめ、盆米(ぼんごめ)、盆(ぼん)ごぼう、

摘蓼(つみたで)、摘豆(つみまめ)、つみ山椒(ざんしょう)、書写山(しょしゃざん)の社僧正(しゃそうじょう)、

粉米(こごめ)のなまがみ、粉米(こごめ)のなまがみ、こん粉米(こごめ)の小生(こなま)がみ、

繻子(しゅす)ひじゅす、繻子(しゅす)、繻珍(しゅちん)、

親(おや)も嘉兵衛(かへい)、子(こ)も嘉兵衛(かへい)、親(おや)かへい子(こ)かへい、子(こ)かへい親(おや)かへい、

ふる栗(くり)の木(き)の古切口(ふるきりぐち)。

雨合羽(あまがっぱ)か、番合羽(ばんがっぱ)か、

貴様(きさま)のきゃはんも皮脚絆(かわぎゃはん)、我等(われら)がきゃはんも皮脚絆(かわぎゃはん)、

しっかわ袴(ばかま)のしっぽころびを、三針(みはり)はりながにちょと縫(ぬ)うて、ぬうてちょとぶんだせ、かわら撫子(なでしこ)、野石竹(のせきちく)。

のら如来(にょらい)、のら如来(にょらい)、三(み)のら如来(にょらい)に六(む)のら如来(にょらい)。

一寸先(ちょっとさき)のお小仏(こぼとけ)におけつまずきゃるな、細溝(ほそどぶ)にどじょにょろり。

京(きょう)のなま鱈(だら)奈良(なら)なま学鰹(まながつお)、

ちょと四(し)、五貫目(ごかんめ)、お茶立(ちゃだ)ちょ、茶立(ちゃだ)ちょ、ちゃっと立(た)ちょ茶立(ちゃだ)ちょ、青竹茶筅(あおだけちゃせん)でお茶(ちゃ)ちゃっと立(た)ちゃ。

来(く)るわ来(く)るわ何(なに)が来(く)る、高野(こうや)の山(やま)のおこけら小僧(こぞう)。

狸百匹(たぬきひゃっぴき)、箸百膳(はしひゃくぜん)、天目百杯(てんもくひゃっぱい)、棒八百本(ぼうはっぴゃくほん)。

武具(ぶぐ)、馬具(ばぐ)、ぶぐ、ばぐ、三(み)ぶぐばぐ、合(あ)わせて武具(ぶぐ)、馬具(ばぐ)、六(む)ぶぐばぐ。

菊(きく)、栗(くり)、きく、くり、三菊栗(みきくくり)、合(あ)わせて菊(きく)、栗(くり)、六菊栗(むぎくくり)。

麦(むぎ)、ごみ、むぎ、ごみ、三(み)むぎごみ、合(あ)わせてむぎ、ごみ、六(む)むぎごみ。

あの長押(なげし)の長薙刀(ながなぎなた)は、誰(た)が長薙刀(ながなぎなた)ぞ。

向こうの胡麻(ごま)がらは、荏(え)のごまがらか、真(ま)ごまがらか、あれこそほんの真胡麻殻(まごまがら)。

がらぴい、がらぴい風車(かざぐるま)、おきゃがれこぼし、おきゃがれ小法師(こぼうし)、ゆんべもこぼして又(また)こぼした。

たあぷぽぽ、たあぷぽぽ、ちりから、ちりから、つったっぽ、たっぽたっぽ干(ひ)だこ、

落(お)ちたら煮(に)て食(く)お、煮(に)ても焼(や)いても食(く)われぬものは、

五徳(ごとく)、鉄(てっ)きゅう、かな熊童子(くまどうし)に、石熊(いしくま)、石持(いしもち)、虎熊(とらくま)、虎(とら)きす、

中(なか)にも、東寺(とうじ)の羅生門(らしょうもん)には、茨木童子(いばらぎどうじ)がうで栗五合(ぐりごごう)つかんでおむしゃる、かの頼光(らいこう)のひざもと去(さ)らず。

鮒(ふな)、きんかん、椎茸(しいたけ)、定(さだ)めて後段(ごだん)な、そば切(き)り、そうめん、うどんか、愚鈍(ぐどん)な小新発地(こしんぼち)。

小棚(こだな)の、小下(こした)の、小桶(こおけ)に、こ味噌(こみそ)が、こ有(あ)るぞ、小杓子(こしゃくし)、こ持(も)って、こすくって、こよこせ、

おっと合点(がてん)だ、心得(こころえ)たんぼの川崎(かわさき)、神奈川(かながわ)、程ヶ谷(ほどがや)、戸塚(とつか)は、走(はし)って行けば、

やいとを摺(す)りむく、三里(さんり)ばかりか、藤沢(ふじさわ)、平塚(ひらつか)、大磯(おおいそ)がしや、小磯(こいそ)の宿(しゅく)を七(なな)つ起(お)きして、早天早々(そうてんそうそう)、相州小田原(そうしゅうおだわら)とうちん香(こう)、

隠(かく)れござらぬ貴賤群衆(きせんぐんじゅ)の花(はな)のお江戸(えど)の花(はな)ういろう、

あれあの花(はな)を見(み)てお心(こころ)をお和(やわ)らぎやという。

産子(うぶこ)、這子(はうこ)に至(いた)るまで、この外郎(ういろう)の御評判(ごひょうばん)、

御存(ごぞん)じないとは申(もう)されまいまいつぶり、角出(つのだ)せ、棒出(ぼうだ)せ、ぼうぼうまゆに、臼(うす)、杵(きね)、すりばち、ばちばちぐゎらぐゎらぐゎらと、羽目(はめ)を弛(はず)して今日(こんにち)お出(い)でのいずれも様(さま)に、

上(あ)げねばならぬ、売(う)らねばならぬと、息(いき)せい引(ひ)っぱり、東方世界(とうほうせかい)の薬の元〆(もとじめ)、

薬師如来(やくしにょらい)も照覧(しょうらん)あれと、ホホ敬(うやま)って、ういろうは、いらっしゃりませぬか。』


言っても長いですが、書いても長いです…(汗)

初めはうまく出来ませんが、練習すれば出来るようになるので、焦らず気長にやりましょうね。






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posted by masa at 18:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | 実際にやってみよう | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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